Automake

[Masatake YAMATO]

大和です．

おもしろいプログラムを書いた(つもりな)のでここに報告します．
# 適切な投稿先はここしか思いつきませんでした．

Automakeの入力であるMakefile.amにはプロジェクトに関する極めて有用な情
報が記載されています．たとえばそのプロジェクトから参照するライブラリの名
前(foo_LDADD)やプロジェクトを構成するディレクトリ(SUBDIRS),ソースファ
イル名の一覧などです．これらの情報は例えば(開発環境である)emacsの中から
利用できれば非常に面白いemacs lispを書くことができるでしょう．

このことに私はかなり前から気付いていました．しかし残念ながらautomake
はMakefile.amに記載された情報を手に入れるためのターゲットを生成して
くれません．automakeを改造して情報を取り出すターゲットを追加した
Makefile.inを生成する方法も挑戦してみたのですが，

- (automakeの記述言語である)perlのscript理解不能
- script自体がそのような拡張を想定していなさそうだった
- そんなものを作ってもautomake本家で採用になるとは思えなかった．
  => automakeのpatchとして配布することになりそうだった．

などの理由でやめました．しかし今回かなりましな方法でMakefile.amの中の
情報を取り出すコードを書けることに気づきました．今まで
なんらかの方法で(Makefile.amに由来する)Makefileに特別なターゲットを追加して，
それによって(Makefile.amの情報を継承した)Makefileから情報を取り出そう
としてあがいていました．今回は自分の書いた特別なターゲットだけから構成された
Makefileのスクリプト(autox.mak)から (Makefile.amの情報を継承した)Makefile
をincludeして 

make -f autox.mak special-target

とします．

長くなりましたが，作ってコードを解説してみます．

作成したコードを用いるとあるプロジェクトのプログラムの構築時にgccに渡
す -I includedir オプション全てを 集めてlisp形式でまとめて出力します．
lisp形式なのでこの出力はemacsから直接利用することができます．

末尾につけたファイルをautox.makとしてプロジェクトのトップレベルにディレク
トリに保存します．言いかえるとconfigure.inがあるであろうディレクトリに保存
します．automake;aclocal; autoconf; ./configureします．
そしてそのディレクトリで

make -s -f autox.mak  echo-includes

とやると結果を得ることができます．
例えばgtk+-1.2.9のトップディレクトリで実行した結果は

(includes :subdir po  ".." "../intl" :subdir gdk  
  ".." "/usr/include/glib-1.2" "/usr/lib/glib/include" 
  "/usr/X11R6/include" :subdir gtk  ".." "/usr/include/glib-1.2" 
"/usr/lib/glib/include" "/usr/X11R6/include" :subdir docs  )

となります．(改行を入れています．)

### Author: Masatake YAMATO
### Use this program under the term of GNU GPL.

include Makefile

# Install myself recursively
install-wrapper:
        @if test "x$(SUBDIRS)" != x ; then \
                for x in $(SUBDIRS); do \
                        cp ${top_srcdir}/autox.mak $$x/wrapper.mak; \
                        (cd $$x;  make -f wrapper.mak install-wrapper);\
                done; \
        fi

# Getting project directories
echo-subdirs: install-wrapper
        @echo -n "(subdirs "
        @for x in $(SUBDIRS); do \
                echo -n "\"`pwd`/$$x\" "; \
                (cd $$x; make -f wrapper.mak echo-subdirs0); \
        done
        @echo -n \)

echo-subdirs0: 
        @for x in $(SUBDIRS); do \
                echo -n "\"`pwd`/$$x\" "; \
                (cd $$x; make -f wrapper.mak echo-subdirs0); \
        done

# Geting -I dirs
echo-includes: install-wrapper
        @echo -n "(includes "
        @for x in $(INCLUDES); do \
                x=`echo $$x | grep -e -I`;\
                if test x$$x != x ; then \
                         echo -n \"`echo $$x | sed s/-I//`\"; \
                         echo -n " "; \
                fi ; \
        done ;
        @for x in $(SUBDIRS); do \
                echo -n :subdir $$x " "; \
                (cd $$x; make -f wrapper.mak echo-includes0); \
        done
        @echo -n \)

echo-includes0:
        @for x in $(INCLUDES); do \
                x=`echo $$x | grep -e -I`;\
                if test x$$x != x ; then \
                         echo -n \"`echo $$x | sed s/-I//`\"; \
                         echo -n " "; \
                fi ; \
        done